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音程について

2016/07/19

尺八の音程は不安定

尺八は音程がとても不安定な楽器です。
初心者が音程を安定させるのはとても難しく、キャリアが長い人でも音程が合わない人がたくさんいます。

ではまず、音程って何なんでしょう?
同じ音でも微妙に高かったり低かったりします。
これを「ピッチ」と言っています。
現在は「A=442Hz」が主流でしょうか。
ただ、あくまで主流なだけで、必ずしもこの音程でなければいけないというわけではありません。

この442にぴったり合わせて吹くのはとても難しいことなんです。
尺八はアゴの当て方、歌口との距離、息の強さ、気温、等々ピッチの変わる要素がたくさんあります。
逆に言えば、色々な音を自由に出せる利点でもあるのですが、これは同時に「不安定」というデメリットも生み出してしまったわけです。
これも尺八の魅力なんですが、合奏をする場合、やはり音程はとても大事になってきます。
一人で吹く場合でも、音によって高かったり低かったりすると、いわゆる「音痴」な演奏になってしまいます。
いくら音色が良くても音痴な演奏は聞きたくないものですよね。

とりあえず、自分で音程を判断出来ない人は機械の力を使いましょう。
チューナーがあれば判定してくれます。
YAMAHA チューナー/メトロノーム TDM-75
YAMAHA チューナー/メトロノーム TDM-75

演奏する上で一番よくないのが、「高かったり低かったりする音がある」ということです。
音程というのは相対的なものです。
ある基準の音に対して高いのか低いのか、という判断になります。

1人で演奏する場合、全部高いor低いとしてもあまり気になりません。
しかし、旋律の中である音だけ高かったり低かったりするととても目立ちます。
また、合奏となると皆で同じ音程にしなくてはいけません。
なので、まずは自分の中で「基準の音」をしっかり作りましょう。

音程が悪くなる原因

では、音程を良くしたい場合どうすればいいか?
まずは「楽器」が悪いのか、「吹き方」が悪いのか知る事です。
これは両方の場合もありますので注意しましょう。

「楽器」が悪いというのは調律がしっかり行われていないということです。
音によって音程が変わる。
乙と甲で音程が変わる。
アゴ当たりが自分に合っていない。
メッたり、カッたりしないと音程が合わない。

こんな場合、楽器を直した方がいい場合があります。

ただ、製菅師の方の名誉のために言っておきますが、決して腕が悪い訳ではない場合も多々あります。
全ての人が吹いて同じ音程になる尺八なんて作れません。
吹く人によって千差万別、顔の形も違いますので、万人に合わせるのは不可能です。

それは作る人もよく分かっているので、自分の吹き方に合わないと思ったら、どんどん相談しましょう。
自分を楽器に合わせるのでなく、「楽器を自分に合わせる」という考え方になりましょう。

特に昔に作られた楽器は今と音程に対する考え方も違いますので、音程が合っていない事も多いです。
オークションで買った尺八(私はおすすめしませんが…)などは音程がメチャクチャな場合もあります。

また、音程が合っていない尺八に合わせて吹くと、変な「クセ」が付いてしまいます。
尺八を演奏する人は、長さが異なる尺八を吹く事が多いため、同じ尺八でどんな曲も…というわけにはいきません。
ですから、変なクセが付いてしまうと、別の尺八を吹く時に無意識のうちに出てしまいますので、とても困ります。

さて、とはいっても、やはり「吹き方が悪い」も当然あります。
吹き方が悪い、といってもどう悪いか?

無意識にメッたりカッたりしていないか?

特に初心者にありがちなんですが、歌口に唇が近付きすぎている事があります。
するとどうなるか?
これはつまり、メリの状態なわけです。
ですから、音程は低くなってしまいます。
「初心者は音程が低くなる」という話はこういったところから来ています。
それを仕方ないで終わらせるか、きちんと修正するかで、上達速度も変わってきます。
また、それを直そうとカリぎみに吹くと、気がつかないうちにどんどん高くしてしまう事もあります。

音が低いと悩んでいる人は、口と歌口の距離を見直してみましょう。
結局、口と歌口が近いんです。

唇が前に出てしまう人は、横に引いてみるだけで音は上がります。
口と歌口に適正な空間があれば、音量も増します。
メッた状態では音そのものは出しやすいのですが、音量は出ません。

音によって吹き方を変えていないか?

これは例えば「ロツレチリ(ハ)」を吹く時、同じ吹き方をしているのか?ということです。
同じ吹き方とは唇の状態の事です。
無意識のうちに唇の状態が変わっている人、多いですよ。
特に乙の「ロ」を吹く時に大きく出そうとして、力みから唇の状態が変わる事が多いですし、甲の「チ」を出す時も、やはり力んでしまう人が多々見受けられます。

これは鏡を見ながら、チューナーを使ってみるとよく分かります。
口の状態が変わると、音程の変化となって表れます。

自分がどの音の時、どんな音程で吹いているか、しっかり理解しましょう。

色々と書きましたが、音程を合わせる事はとても難しいことです。
特にメリ音は上級者でも苦労します。

音程で一番大事な事は「耳を鍛える」ことです。
自分が合っているのか、ずれているのかが分からない事にはどうしようもありません。
演奏しながら自分の音は合っているのか?という事を常に気にしましょう。

-尺八の基本