楽器説明
2016/07/20
尺八とは?
まず尺八とはどのような楽器か?
種類としてはエアリード楽器という分類です。フルートやケーナと同じ分類になります。
竹(種類は真竹)で作られており、根の部分から七節となっています。
一般的に指孔は表に四つ、裏に一つの五孔です。(楽器によっては七孔や九孔もあります)
写真のように下から一孔~四孔、裏が五孔と数えます。
上部の息を当てる部分が歌口(うたくち)といい、水牛の角を使うのが一般的です。
歌口の形状は流派によって異なり、角形が琴古流、丸形が都山流です。どちらも機能的には差はありません。
携帯に便利なように、中心部分の中継ぎ部分で二つに分離できるようになっています。
音が出る仕組み
そもそも尺八の音が出る仕組みはどうなっているのでしょう?
尺八は、フルートやリコーダーと同じで「エアリード」という分類になります。
空気を震わせて音が出るのです。
他サイトからの引用ですが、このようになっています。
歌口の斜めになった部分の上部に空気の流れが出来ると、管内の空気がその流れに引っ張られて外に出ようとします。
そうなると管内の気圧は下がりますから、空気は管内に戻されます。
しかし、相変わらず外側に流れる空気は管内の空気を引っ張ります。
この連続で、歌口の所に出たり入ったりという空気の振動が生まれるのです。
引用:http://howto.senshu-shakuhachi.com/index.cgi?mode=dsp&no=22
こちらはフルートの発音原理を解説したもので、基本は一緒です。
エッジに向かって息を当てると、唄口から入れた圧力の高い音の波が管を通り、足部管の先や開いた音孔など開口部に行きます。
そして反射して戻って来て、唄口付近の空気を押し上げて外に戻そうとするのです。
すると、その部分の音圧が下がり、今度は吸収しようとします。
それで唄口のエッジ付近の空気を上下にふるわせる波が発生し、音に変わるというわけです。
引用:http://www.yamaha.co.jp/plus/flute/?ln=ja&cn=10603&pg=2
内部構造
尺八は竹を使った非常にシンプルな楽器です。
ですが、内部はというと実はいろいろと細工がしてあります。
竹は筒状ですが、節があります。
この節を抜いて使用しますが、それだけでは凹凸が出来てしまい、音量などに影響します。
そこで、内部に漆やその他を混ぜた「地(じ)」と呼ばれるものを塗り、なめらかにします。
そして、内部は歌口部分から、管尻まで穴が開いているわけですが、全て同じ広さではありません。
場所によって、広くなったり狭くなったりしています。
これによって音量や音色などが変わってきます。
この構造は各メーカーによって違っていたりするので、こういった部分が製作者の「個性」となっています。
尺八の種類
「尺八」の由来は代表的な長さが一尺八寸(約54cm)からきています。
他にも一尺一寸から二尺四寸、長いものでは三尺を越えるものもあります。
尺八の世界では大雑把に「一寸半音」という言葉があり、一寸長さが違うと半音変わるということです。(厳密には違いますが)
一番良く使われる一尺八寸管は、筒音(全ての指孔を塞いだ時に出る音)がD、一尺七寸だとD#、一尺九寸だとC#といった具合です。
曲の調性や音域で使い分けます。
よく使われる長さとして、一尺八寸管(D)、一尺六寸管(E)、二尺三寸管(A)、二尺(C)、二尺一寸管(B)などがありますが、やる曲によって合う尺八は違います。
和楽器のための曲がやりたいなら、八寸管と六寸管があれば、かなりの数の曲が演奏できます。
ちなみに、お正月でよく聞く「春の海」は六寸管を使用します。
参考に、各長さの尺八の五線譜との対照表を作成しましたので、使ってみてください。
よく聞かれる「音域」の話
尺八をやっていると、他の楽器奏者によく聞かれる質問で音域があります。
「大体2オクターブ半位」と答えていますが、非常に難しいのです。
前述の通り、尺八にはいろいろな長さがあって、曲によって使いわけたりします。
ですから、音域はどれも同じですが、最低音や最高音となると、長さによって変わってしまいます。
さらに、2オクターブ半の中でも全部同じように鳴らせるかというと、そうでもないのです。
吹き方の項でも説明しているように、尺八には「メリ」という技法があり、これで穴の開閉だけでは出せない音を出しています。
なので、音によって難易度が全然違います。
メリの音が立て続けに出てくると非常に難解になってしまいます。
さらに、これは奏者の技量による部分が非常に大きくなってしまいます。
また、人によって持っている楽器の種類も違いますので、対応できる調も変わってきます。
と、いうわけで音域としては2オクターブ半くらいだが、「調によって演奏しやすい長さがあり、それによって最低音と最高音が変わる」ということになります。
尺八の曲を作ろうと考えている人は参考にしてみて下さい。
基本的にはシャープやフラットは少ない方が喜ばれます。
尺八の奏法
尺八が出せる音域は大体2オクターブ半ですが、5つの指孔の開閉だけで出せる音は限られます。
そこで指孔を半開させたり、メリ・カリという奏法を使います。
メリ・カリとは歌口と唇の距離を変えることによって音程を上下させる奏法です。
これは楽器と触れている部分(下唇の下の部分)を支点に、顎を沈める(メリ)、反対に顎を浮かす(カリ)動作をします。
この応用で顎を上下させる事でビブラートをかけたりもできます。「首振り三年」という言葉はここから来ています。
尺八の楽譜についての解説は「尺八の楽譜解説」にて。